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武士の一分(いちぶん)

木村拓哉x山田洋次x藤沢周平

命をかけて守りたい愛がある。

藤沢周平原作による山田洋次監督の時代劇映画シリーズ第3弾最終作。

武士の一分
価格:¥2,952
監督:山田洋次 
出演:木村拓哉, 檀れい, 笹野高史, 小林稔侍, 緒形拳, 桃井かおり 
原作:藤沢周平「盲目剣谺返し」 
販売元:松竹ホームビデオ 
発売日:2007年06月01日 収録時間:121分 音声仕様:2ch(DD)/5.1ch(DD)

映画/武士の一分のストーリー(あらすじ):
幕末時代の海坂藩の下級武士、三村新之丞は藩主の毒味役をしながら最愛の妻・加世とつましく暮らしていた。そんなある日、毒味した貝毒で失明し平和な日々は暗転してしまう。武士としての奉公もかなわず、生きるにも人の力を借りなければならない事に絶望した新之丞は、自害しようとするが加代の必死の願いで思い留まる。しかし光の無い世界にも慣れてきたある日、加世と番頭・島田藤弥との不貞を知ってしまう。島田に体を預けることを引き換えに家禄を保ってきたことを知った新之丞は加世を離縁。その後、実は島田は加世を弄ぶために家禄を口実に加世を騙したことを知り、島田に対し、自らの「一分」を賭け果し合いに挑む。


譲られない心、譲れない愛。

「武士の一分」俺様的レビュー

まず、一言。悪くない。

映画に漂う空気に懐かしさを感じる。ご飯の炊けるあの香り、火を焚くにおい、夏の蒸す暑さや夜の風のにおい・・・そこに生活がある匂いがした。
そして、それは自分が日本人であることを呼び覚ます感覚を刺激する。
日本の季節の中でどっぷり暮らさないとわからないような、草や木、風の音、虫の声など自然の音、光、色、動きなどが、それぞれのシーンの至る所で、美しさ、わびしさや寂しさまでも見事に役者達の心情背景とシンクロして表現されている。
こういった描き方は山田洋次監督の映像の中でのこだわりなのだろう。
また、そのほとんどが、室内スタジオのセットで作られたモノだと知り驚きである。

起:美しい妻と過ごすかけがえのない毎日
新之丞は毒味役に不本意を感じながらも、慎ましい生活を美しく気だてのよい妻との毎日を幸せだった。早くに隠居して子供がたに剣術を教えるというささやかな夢も抱いていた。

動きの無いシーンの演技など檀れいは、日本の女性ならではのこの妻、加代役にはまり役で、決して出過ぎず脇で華を添えるような魅力的な女優だな。
木村拓哉も序盤はいつもの「キムタク」が見えて、実はこの先が不安になった。

承:自分を必要とする加代と徳平との生活
毒で一命は取り留めたものの視力を失った新之丞。人に頼る生活は恥と自害を決意するが、加代と徳平の献身的な姿にうたれ、己の存在の意味を知る。

この映画は先(ラスト)が読めて、次に来るシーンを想像して、素直に感動できる=早めに泣かせる(笑)まさに山田洋次の世界。
もちろん観る人の意表を突く展開というのも、最近のドラマでは多いし、映画の楽しみのひとつではあるけれど、先が読めても感動できるってのは、すなわち、2回目3回目に観ても感動できるってことだな。

転:男としてのプライド
見張りに行かせた徳平から、番頭島田(板東三津五郎)との不貞を知った新之丞は加代に真意を聞く。それが家禄と自分を守るためだったとはいえ男として譲れない一心で離縁を言い渡す。

中盤あたりから木村拓哉が武士新之丞に見えるのだよ。「役者 木村拓哉」だ。序盤の演技はワザとキムタクを出していたんじゃないかと思うほどだ。盲目になり絶望する姿、さらに妻との離縁の件、わかっているんだがその動き一つ一つに惹き付けられる。

また、すっとぼけた動きの徳平役の笹野高史、おしゃべりが絶えない以寧役の桃井かおり、ベテラン俳優 小林稔侍, 緒形拳らの味わいのある演技はさすがだ。

結:武士の一分をかけた果たし合い
島田が実は御上に何の口添えもしていないことを知り加代が嵌められたことを知った新之丞は怒りを胸に剣術の稽古を再開。義を重んじ卑怯を憎む武士の一分として新之丞は剣の師の助太刀の申し出も断り、ひとりで果たし合いを申し込む。

殺陣の場面の工夫も相当なものだ。黒澤映画のような「鋭さ」は無いが どこか「瓢味」を帯びており見ていて心地よい。
終盤の決闘にかけて木村拓哉のその姿は紛れもない三村新之丞だった。

暗い絶望をくぐり抜けた男が目にした希望の光

最後の盲目の主人公が妻の手を取ってそれと理解するシーンは「街の灯」を思わせる。音楽もシンプルで力強く、武士の無骨さが伝わってくるようで印象的。

人には命をかけても守らねばならない一分(いちぶん)がある。

細やかな小道具も用いての心情描写を背景に、役者達が演じる人間模様の中にかけがえのない日常生活をゆっくり描き、それを見た者にどっぷり「そうだそうだ」と感情移入させたところで、ズバッとストレートに持ち込んでいく。まさに山田洋次監督映画の味つけの映画。★★★★☆ 3.7くらいかw


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